2021年09月13日
元信託銀行・株式ファンドマネージャーから No.23
<インフルエンサーって、何?>
突然ですが、筆者は、約30年前から原宿の美容室に通っています。
還暦近くになって、未だに原宿の美容室に通っていること自体に気恥ずかしさを覚えるのですが、地方支店から念願の東京に転勤した20代の頃、雑誌で美容室を探して、現在まで同じ人を指名しており、「いつもの通りでお願いします」と細かい注文しなくていい気楽さに負け、既に若者でなくなった筆者が、若者の街「原宿」に足を運んでいるわけです。
前置きが長くなりましたが、先日、その美容室で筆者が驚いた出来事について、おはなしさせていただきます。
その美容室で子供が髪の毛をカットされている姿を今まで見たことがなかったのですが、予約時間より早めに到着し待っている間、筆者担当のオーナー兼スタイリストが3~5歳と思われる女の子の髪の毛をカットしている光景を目にしました。
そのこと自体は、特別不思議なことではないのですが、未だ幼い女の子の注文がやたらと多いうえ、その子のお母さんに加え、なんとお父さんまでもが、鏡の前で「あーした方がよい、もっとこうした方がよい」と賑やかに作戦会議を立てるような感じで、女の子の髪型について決めていました。
芸能人の顧客もいる美容室とは言え、見たこともない親子3人が幼い女の子の髪型について真剣に考えるなんて、一体どういうことなのかと思い、筆者のカットの番になった際にオーナー兼スタイリストに尋ねたところ、「あの3人、インフルエンサーなんですよ」という返事がかえってきました。
筆者が「インフルエンサーって、芸能人がインスタグラムに投稿している感じじゃないの?」と尋ねると、オーナーが「最近は、家族でSNSに投稿して、人気がでる人たちがいるんですよ。もう凄いんですから・・・」という返事があり、筆者は「一般人がインフルエンサーになるなんて、そんな世界になっているんだ」、「なるほど、ビジネスだから、あんなに真剣だったんだ」と感心した次第です。
家に帰って、妻に美容室での出来事をはなすと、妻が「〇〇〇ちゃんとか、有名なこと知らない?」と返事があり、筆者はスマホで妻が言っていた「〇〇〇ちゃん」で検索してみました。
そうするとインフルエンサーと言われる「女の子のランキング」、「男の子のランキング」、「家族インフルエンサーランキング」まで、出てきました。読者の皆様は、そんなことも知らないのかと思っていらっしゃるかもしれませんが、筆者は知りませんでした。
筆者のスマホの使い方は、Spotifyで音楽を聴く、YouTubeで海外、安全保障、政治、経済、金融市場絡みのチャンネルを視聴する、ニュースサイトを見ることぐらいです。きっとAIが筆者の属性、趣味嗜好に合わないチャンネルをお勧め動画として流してこないので、「一般人インフルエンサー」に気づかなかったのだと思います。そう言えば、YouTuberも立派なインフルエンサーであるわけですが、YouTuber≒インフルエンサーという発想がありませんでした。
筆者の率直な感想は、「流行り廃りがある世界で、家族全員でSNSの投稿に全力を挙げるなんて、ギャンブラーだな」、しかも「そんなことで、大金を儲ける経験をしたら、普通の勤め人にはもう戻れないかも?」というものです。一攫千金を狙って、インフルエンサーをされている方からすれば、大きなお世話かもしれません。
時代が変化し、お金儲けの手段がこんなにも多様化したのか!?と驚くばかりですが、投資の世界は手堅く、長続きする方法を取るべきではないかと筆者は思っております。
(令和3年9月)
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