2017年07月20日
元信託銀行・株式ファンドマネージャーから No.12
<サテライト・オフィスはいかが?>
1980年代後半のバブル期に全国の地価やオフィス賃料が高騰したことを受けて、バブル末期~1990年代初頭に、企業の間に「サテライト・オフィス」構想があり、また、実施した企業もあったと記憶しています。
当時のオフィスビルは、今ほど高層化されておらず、東京地区のオフィスの総床面積も小さかったと思われます。その後、バブルの崩壊に伴い、景気が悪化し、企業の経費削減強化により、「サテライト・オフィス」構想は立ち消えとなりました。
バブルの傷も癒え、地方の企業も東京本社を持つ傾向が強まり、また、アベノミクスと相まって、企業収益力の向上を支えに、企業のオフィス集約化の動きが活発化しました。
最近では、東京都の千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区等中心部に、高層化したオフィスビルが数多く建てられ、空室率も低い水準が続いています。
この動きに伴い、神奈川県、埼玉県、千葉県等から、東京の中心部に向かう通勤電車は混雑さを増してきたように思います。
ここ半年の間に起きたことでビックリしたことがあります。ある私鉄の上り電車が神奈川県の駅で、乗客同士の喧嘩により、大幅に遅延したことです。私の現役時代も乗客同士の喧嘩は、たまにはありましたが、列車が大幅に遅延するようなことは記憶にありません。乗車率が増加したことに加えて、最近は、乗客がスマートフォンに夢中になって、周りの人との間合いに無頓着なことも喧嘩になる要因になっているかもしれません。
スマートフォンの機能を見れば、一目了然ですが、ここ15年程度の間に、通信容量や通信速度の増加は幾何級数的なスピードで向上しました。一方、通勤電車の本数も増えましたが、当然のことながら、それは算術計算的な伸び方でしかありませんでした。
幾何級数的に伸びた通信容量や通信速度の増加を活用すべく、自宅勤務の動きも広がりつつあります。しかしながら、オフィスに出勤しなくても成果が発揮できる仕事においても、経営者側は、サボってないかという懸念、勤務管理が困難、情報漏洩のリスク等を理由に、従業員側は、書斎等独立した空間を持っていない、家族がいる場合に集中力が途切れる等の理由で、自宅勤務の広がりには制約がかかっているように思われます。
でも、考えてみれば、算術計算的な本数の伸び方しか期待できない満員電車に乗って、その間に、暇つぶしに、幾何級数的なスピードで向上した通信容量や通信速度をスマートフォンでのゲームを楽しむ等というのは、効率が悪いと私は思います。
そこで、私が思いついたのが、かつての「サテライト・オフィス」です。JR・私鉄の各沿線で、東京都に入る直前の地域あたりに「サテライト・オフィス」を設けるのです。郊外から通勤される方の通勤時間が短くなり、都内から通勤する方は下り電車に乗れます。
「サテライト・オフィス」には管理者が常駐し、勤務管理ができるメリットもあります。
(平成29年6月)
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