元信託銀行・株式ファンドマネージャーから No.10 <少数の銘柄が株価指数を振り回すケース 米国>

2017年07月10日


元信託銀行・株式ファンドマネージャーから No.10

 

<少数の銘柄が株価指数を振り回すケース 米国>

 

 前回の元信託銀行・株式ファンドマネージャーから No.9の<少数の銘柄が株価指数を振り回すケース 日本>では、1999年のITバブル期を象徴する銘柄である「ソフトバンク」と「光通信」の例をご紹介いたしました。

 

 今回は、現在、米国で起きている同様の現象をご紹介いたします。

 

 米国における代表的な株価指数は、NYダウ30種平均株価指数、S&P500株価指数、ナスダック総合株価指数があり、日本のテレビのニュース等でも耳にされる機会があるのではないかと思います。

 

 その中で、スタンダード&プアーズ社が米国の優良企業500銘柄の時価総額を指数化したS&P500株価指数では、5大銘柄が2016年来、同株価指数を押し上げています。

 その5大銘柄とは、アップル、アルファベット(グーグルの親会社)、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックです。日本人の私でも、この5大銘柄のサービスや製品のお世話になっている世界的な企業であり、マイクロソフトとアップルを除けば、比較的新しい銘柄群です。

 

 この5大銘柄の時価総額のS&P500株価指数を構成する全銘柄の時価総額に占める比率は、約12~13%に上ります。5大銘柄全てが2017年4月末時点で年初来プラスを維持しています。業績については、常に投資を先行させてきたアマゾンも含めて好調と見られており、アマゾンを除けば、利益率も高い銘柄群です。

 これらの銘柄の中には、極めて高い成長期待が織り込まれているものもあるため、成長見通しについて、市場の平均的な予想とは別の見解を持った空売りファンド、アンダーウェイトにしているファンドは、今のところ、パフォーマンスについては、苦労しているところもあるのではないかと思われます。

 これらの銘柄群は既に高い成長を実現してきた実績があり、今後も成長するとの予想が多数派です。

 

 私は米国株式のプロフェッショナルではありませんし、ここで投資判断を申しあげるつもりは一切ありません。しかし、唯一つ言えるのは、株式投資の世界も諸行無常であり、注目される銘柄の入れ替わりは、過去においては起きてきたという事実だけは自信を持って申し上げることができます。

 

(平成29年5月)

 

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