元信託銀行・株式ファンドマネージャーから No.4 <トランプ米大統領のスタンス>

2017年05月26日

 

元信託銀行・株式ファンドマネージャーから No.4

 

<トランプ米大統領のスタンス>

 

 トランプ米大統領の行動を2016年の選挙戦から見ていて感じる彼の一貫しているスタンスは、オバマ前米大統領と反対のことをやっていることです。

 

・(今のところ成功していませんけど)オバマケアの撤廃、見直し

・TPPから離脱し、個別国とのFTAにシフト

・不法移民対策の強化

・環境政策の見直し

・CIA、NSA等情報機関よりも、現場叩き上げの軍人の重用

・オバマ前大統領時代に関係が良くなかった英国、イスラエル、日本への接近

・ドイツ中心の経済帝国と化したEUとの距離を置くこと

・(今のところ、潰された形となっているが)ロシアとの和解

・(今のところ、従来よりも緩和的になっている)中華人民共和国と距離を置くこと

・理念、話し合い重視から、力の誇示による政策推進

・規制緩和、税率の簡素化等米国建国の精神を感じさせる政策提言

 

 その背景にあるのは、民主党の支持層である女性、有色人種等マイノリティやリベラルな人達に、「Yes We Can」 と叫んで、「核なき世界」を標榜して、ノーベル平和賞を授与されたリベラル派弁護士出身のオバマ前大統領のことを、トランプ新大統領が大嫌いだったことではないでしょうか?

 そして、トランプ大統領が、不動産デベロッパーとして、クイーンズの無名の住宅中心の開発業者である父親の援助や人脈を利用しながらも、その類まれなる才覚で、マンハッタンの再開発に成功した実績が、リーマンショックで所得が減少した白人中間層の中下位層のみならず、そこそこ成功しているが、普段は政治に対する姿勢を明確にしない(サイレント・マジョリティと呼ばれる)アッパーミドルの共感を呼んだことが大きいのではないでしょうか?

 

 私たちが、テレビドラマやニュースで目にする米国は、ニューヨーク、ワシントン、ロサンゼルス、といった都市部の光景だったりしますが、実は、これらの都市部以外に住む大部分の普通の人達は、日曜日には教会に行き、ピックアップ・トラックやSUV、カマロのようなマッスルカーをこよなく愛し、家族で集まってアメリカンフットボールの試合を大騒ぎで見ていたりします。自由と自己責任という米国建国精神のメンタリティーを持った普通の人達は、トランプ大統領の過激な表現とは裏腹に、掲げた政策が自分達の思いを汲んでくれていると感じたのでしょうか?

 

(平成29年5月)

 

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