<アリとキリギリス>
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<アリとキリギリス>

 

元信託銀行・株式ファンドマネージャーから No.13

 

<アリとキリギリス>

 

 皆様がご存じのイソップ寓話のひとつに「アリとキリギリス」があります。内容は、国や時代により、様々に書き換えられています。私が幼い時に習った内容は、夏の間、アリたちは冬の食料を蓄えるために働き続け、キリギリスはバイオリンを弾き、歌を歌って過ごす。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、最後にアリたちに乞い、食べ物を分けてもらおうとするが、アリは「夏には歌っていたんだから、冬には踊ったらどうだい?」と食べ物を分けることを拒否し、キリギリスは飢え、死んでしまうというものです。

 

 この寓話から二つの教訓が汲み取れます。一つは、キリギリスのように将来の危機への備えを怠ると、その将来が訪れた時に非常に困ることになるので、アリのように将来の危機の事を常に考え、行動し、準備をしておくのが良いというもの。 二つ目は、アリのように夏にせこせことためこんでいる者というのは、餓死寸前の困窮者にさえ助けの手を差し伸べないほど冷酷で独善的なけちであるのが常だ、というものである。

 

 二つ目の教訓は、残酷すぎるので、アリが慈悲心をもって食べ物を分けてあげるという改変が古くからあるそうです。食べ物を分けることを拒否し、キリギリスが飢え死ぬのでは残酷だというので、アリは食べ物を恵み、「私は、夏にせっせと働いていた時、あなたに笑われたアリです。あなたは遊び呆けて何のそなえもしなかったから、こうなったのですよ」とキリギリスに告げ、それを機にキリギリスは心を入れ替えて働くようになるなどという展開に改変されている場合もあります。

 

 この展開での現代物でよく知られた作品としては、1934年にウォルト・ディズニーがシリー・シンフォニーシリーズの一品として制作した短編映画があります。この作品では、当時ニューディール政策により社会保障制度の導入を進めていたフランクリン・ルーズベルト政権への政治的配慮から、アリが食べ物を分けてあげる代わりにキリギリスがバイオリンを演奏するという結末に改変されています。ギブ・アンド・テイクですね。

 

 諸説ある中で、私が最もシックリきた内容は衝撃的です。それは、アリが冬支度をした頃を見計らって、キリギリスは、アリがせっかく蓄えた食糧を奪い取り、最後にアリまでも食べるというものです。善悪の区別、社会保障が充実している現代社会では、子供に教える教材にはなりませんが、現実の社会には、こんな状況がままあるように思います。

 

 どの説を好むのかは、人によってそれぞれかと思いますが、少なくとも将来への備えに対する考え方は、若いうちから持っていた方がいいと思います。

 

 

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